日記

【小説】2030年

「ねー、むかしのひとってみんなかおをだしておでかけしてたってほんとう?」

4歳になったばかりの息子が俺に問いかける。

時は2030年、俺も38歳になり結婚して子供を授かり人並みに幸せに生きている。

…いや、今となっては人並みの基準が大幅に下がった気がする。

 

オリジナル小説「2030年」

2019年12月に中国で「COVID-19」と言う恐ろしい病原菌が発覚し、瞬く間に世界に広がっていった。

それから間もなく日本、いやほぼ全世界が感染を防ぐために「密閉、密集、密接」の三密と言う言葉が登場した。

それに伴い今までの暮らし方が大幅に変わっていった。

人との距離が遠くなっていくのを肌で感じたのだ。

2020年は本当に散々だった、外に遊びに行くと非国民だと罵られ、中には外食に行くことすら禁忌だと言い出す者もいた。

緊急事態宣言の影響で倒産した会社も多数存在した。

当然だ、国民全員が家に引きこもって過ごすことが大前提となった生活で生き延びれない会社のほうが多かった。

中には生活できずに犯罪に手を染める輩が多数存在したくらいだ。

今思い返してもゾッとする。

 

その中で国民のほぼ全員がしていたのが「マスク」だ。

感染防止のために外出するときはマスクの着用がほぼ義務付けられた。

外でマスクをしていない人はこれもまた非国民だと指摘された。

その文化は未だに続いている。

 

「そうだよ、コロナウイルスと言う病気が広まってみんながマスクをするようになったんだよ」

息子にも分かりやすいように説明をする。

だが息子はコロナウイルスことCOVID-19の存在をよく知らない。

当然だ、なぜなら2030年の今となっては収束しているのだから。

「ころなういるす?いまはそのびょうきはないの?」

「うん、もうその病気は無くなったから安心なんだ」

 

正直COVID-19なんてものが収束したかなんて一般市民の俺には分からない。

2024年、世界の影響力を持っている人物が暗殺された。

どうやらCOVID-19の存在が嘘だと言うことが関係者に明かされ、長年の鬱憤が溜まった関係者に殺されてしまったらしい。

暗殺者は潔く罪を認め、今は裁判にかけられているらしい。

正直あの恐ろしい病気が存在していなかったなんて俺には到底信じられない。

なぜなら沢山の人が命を落とし、運よく生存できても後遺症で苦しむ人が未だにいるからだ。

ただこの衝撃的な事件から世界中の人類が自粛から解かれ、元の生活に戻っていった。

しかし戻らないことも中にはあった。

 

「どうして、じゃあどうしてぼくもみんなもかおをかくしていきているの?」

そう、マスクの事だ。

うやむやな状態でCOVID-19が収束してしまった為にマスクを引き続き使い続けている人が多い…

と言うのは建前で、人との距離が遠くなったまま生きることになった我々に顔を出すと言う行為がとても怖くなってしまった。

所謂マスク依存症というものだろう。

他にもインターネットの普及でいつどこで誰が自分のことを晒すのか疑心暗鬼になり感染防止ではなく防衛のためにマスクをしている人も多い。

 

このたった数年間で生活様式が変わったが、同時に世界全体の治安も悪くなってしまった。

モラルに欠けた人が多くなっているように思う。

自分の生活のために外見などの人の個人情報を売って生活している人、自暴自棄になって犯罪を犯す人、やり場のない怒りを第三者に向ける人など多数存在している。

そんな中で人に顔を見せると言う行為はとても恥ずかしいことになってしまった。

たまに顔を晒す人もいるが、それはモデルやアイドルなど顔を売りにする人がほとんどだ。

そんな俺も実際に妻の顔を見れたのは結婚した後だ、マスク越しの顔を見て落胆したのを覚えている。

とはいえ妻側も俺の顔を見てきっと落胆しただろう、こればかりは仕方がない。

 

「ねえパパ?」

俺が答えに迷って沈黙をしていると息子が俺を呼んだ。

俺はここでどんな答えを言えばいいのだろうか…。

「それはね…君を守るためだよ…」

純真無垢な我が子には俺が言った言葉の意味が分からないだろう。

だけどこの破滅しかけている世界で少しでも我が子を守りたいのだ。

 

いや、こんな世界に命を作ってしまった俺も相当な罪人だ。

どうして子どもなんて作ってしまったのだろうか。

…そうだ、こんな世界になっても愛情がないと生きていけない。

こんな境遇の中、俺と妻は出会い家族となったのだ。

そして息子と3人で幸せに暮らしていきたい、そう思ったのは嘘ではない。

だから我が子が思いやりを持ち心身ともに健やかに育ち、笑顔で生きていけるよう少しでも沢山の愛情を注いでいこうと思う。

この罪を背負いながら…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あとがき

即興で小説を書いてみました、制作時間30分くらいですw

コロナ騒動が始まったのは2020年、10年後である2030年ってどんな世界なんだろうね?

正直このままだと人々の余裕がなくなり、治安も悪くなり、より生き辛くなる世界になりそうで怖いです。

そういう意味ではコロナが嘘であって欲しいかな?

最近一部で陰謀論とかコロナは嘘だったって騒いでいる人もいるらしいけど、これもコロナが嘘であって欲しいと言う潜在的な思いがあるのかもしれませんね。

実際どうなのかは知らないけど。

 

人はどうしても愛情がないと成長することが出来ません。

俺にはそれが欠けているので見た目はいい大人だけど心の中が子供の時のまま止まっています、アダルトチルドレンってやつです。

チェッカーズの「ひとりじゃいられない」と言う曲がありますが本当に心に染みる、俺にも愛情を注がれる日が来るのでしょうか?

今回はこういう未来になって欲しくなくて敢えてバッドエンド的な世界線にしてみました、「自分が見た悪い夢を他の人に話したら正夢にならない」ジンクス的な意味で。

 

ちなみにこの主人公、2030年に38歳になっていることから俺自身だと思われる方もいるかもしれませんが…2030年も独身小梨だと思うよw

少しでも感情移入したくてこういう設定を俺と一緒にさせていただきましたとさ!

でもマスクの生活が続いたら結婚した時に初めてその人の顔を見るなんてことが事実になったらどうしよう…それはそれで怖いね。

人の不幸は密の味、って言う人がいるけど全員が幸せになったらそういう言葉も消えると思うんだ。

残念ながらそんな未来は一生来ないけどね。

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  • この記事を書いた人

赤根谷薫

永遠の14歳・ADHD・堕天使・社会不適合者… 色々と痛いけど頑張って生きてるよw

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